Edelweiss Brass Orchestra

第19回定期演奏会のすべて


Edelweiss Brass Orchestra

19th Regular Concert

エーデルワイスの日常

=第19回定期演奏会の舞台裏=


 1年に1度の一大イベント、「第19回定期演奏会」が去る1997.12.13(Sat)に開催された。そのリハーサルから本番までの模様を「日常スタイル」でお伝えしたいと思う。コンサートの裏側をどうぞ。


[エーデルの長い一日][ステージリハ][開幕のベルが鳴る][懺悔の時間]

*エーデルの長い一日*

 さて、今日はエーデルワイスにとって一年の一大イベントである「第19回定期演奏会」の本番の日。エーデルにとって一番長く、一番緊張し、そして一番ハッピーな日だ。昼12時に今日のイベントの舞台となる練馬文化センターへ楽器と衣装を持って集まる出演者達。「おはよう、いよいよだね」「夕べ緊張して眠れなかったよ」「先週調子悪かったんだ、音出るかなぁ・・・今日」。出演者の気持ちの高ぶりは隠しきれない。楽屋に不安と緊張がみなぎる。

 会場となる大ホールは朝9時からのスタッフの作業によりセッティングはほぼ完了している。楽屋入りした出演者は思い思いに昼食をとり、ウォーミングアップを開始する。パァ〜〜、キュイーーーン! 朝から高音を出しまくりブイブイとばす飛び道具・N川(Tp)。おいおい、そんなに吹くと本番でばてるぞ。そんなちょっとした緊張が流れる楽屋で頭を抱える出演者が一人。今回のステージがエーデルデビューとなるMかちゃん(Cla)だ。「ブラウスがなぁ〜い!」そう、彼女は1部のステージ衣装である白いブラウスを忘れてきてしまったらしい。あわてて買いに走ろうとした彼女だが、幸いにも白いブラウスを2枚持っていた人に借りることが出来て事なきを得ることに。そのあわてる隣で「私なんか楽器忘れちゃったんだから」というS乙女どんちゃん(Ob)。途中で気づき、家から配達してもらったらしい。おいおい、威張る事じゃないぞ。今日はいったい何の日だとお思いか? しかも君はソリストじゃないか・・・。

*ステージリハ*

 午後1時半。ステージリハ開始の時間がやってきた。楽屋で軽いチューニングを行い楽器を持っていざステージへ向かう。練馬文化センター・大ホールは殆どのメンバーにとって2度目のステージ。まず2部「Conceptual Stage」の配置にスタンバイ。今回の2部は例年とはがらっと配置を換え、特に中低音とドラムの人間はいつもとは勝手の違う場所に座る。初めての場所で音の響き方をチェックする。さぁ、いよいよステージ・リハーサルのスタートだ。

 この「Conceptual Stage」はナレーションと音楽によって、ステージ全体を通してあるメッセージを観客に伝えるというエーデル独特のステージスタイル。今年のテーマはズバリ「愛」。殺伐としたこの世紀末に正面切って堂々と「愛」を語ろうという大胆な企画だ。今回ナレーションを担当してくれるのはバブルガム・ブラザースのBro.TOMさん。録音済みのナレーションを出すタイミングあわせの作業と、音響バランスを修正する作業がステージ上で行われた。ナレーションのタイミングは完璧。音響もホールの響き方に合わせて修正をし、さらにスモークのたき具合もチェックして2部は万全の体制となった。あとは演奏者の心の準備だけだ。今年のステージは先ほども書いたとおり「愛」がテーマ。「人を愛することはすばらしい」というメッセージを伝えるとともに、ステージ全体が観客に対するクリスマス・プレゼントになるような構成だ。ステージ全体は地味目の照明で通し、最後の曲である「STAND BY ME」の後半で反響版の裏に隠された巨大な電飾のクリスマスツリーを見せるという一点豪華主義的演出で観客の気持ちをつかもうという作戦だ。ステージで一番のポイントはこのクリスマスツリーとSTAND BY MEでの生歌。今回一番伝えたいメッセージを演奏者全員の歌で観客へ歌い語りかける構成だ。歌の繰り返しは「X Time Repeat」、スコアには大きく「お客さんが歌うまで!」の文字が踊る。この「歌でメッセージを伝える」と言うことにまだ照れを感じている団員達。歌声も小さくノリも悪い。だが、ここでなにも伝えられなければ今回のコンサートは終わらない、いや終われないのだ。この点に不安を残し、2部のリハは終了した。

 次は1部「Classic Stage」のステージリハーサル。今回の1部の一番の見せ所は「エルサレム賛歌」のラストにはいるバンダの演奏だ。トロンボーンのバンダ3名はステージ上へ立ち、6本のトランペットバンダは2階の客席最前列へ左右に3本づつ分かれてスタンバイする。「天のトランペットと地のトロンボーン」という常任指揮者・M屋氏の意図を反映した配置だ。バンダパートとのあわせが入念に行われる。天から降るトランペットの音は迫力満点。結局今回のステージ中もっともきついこの部分を3度も演奏し、全リハーサルは終了した。

 これであとは本番を残すのみとなったメンバー。演奏会が成功するか、失敗するかはあとは出演者の心次第。「お客さんにこのステージを通して私たちからクリスマスプレゼントを・・・、悔いの残らないいい演奏をしよう!

*開幕のベルが鳴る*

 午後6時が過ぎ、開幕目前となった舞台裏。夕食を済ませ1部のステージ衣装へ着替えてチューニングを行う出演者達。その中でぎりぎりに到着するメンバーを待つ人達。本番15分前となり、やっとTubaのA田氏が楽器を抱えて到着。だが、メンバーがステージの袖に待機する時間になろうとするのにTbのS藤氏とTpのさんちゃんが到着しない。そわそわしながら2人の到着を待つ。幸いにも本番ぎりぎりに残りの2人は到着し、無事ステージ袖へ。これで出演者が全員そろった。

 開演5分前、1ベルが鳴る。そして定刻に2ベル。いよいよ開幕だ。出演者がステージ上へと上る。お客さんの入りはまずまずだ。演奏は、エーデルには珍しく(!)バランスのよいまとまりのある演奏だ。若干の飛び出し、滑りはあったものの無事1部は終了。15分の休憩の間に2部のステージ衣装へ着替える。全身黒に統一したアダルトなスタイルにワンポイントの赤が映える。2部に開幕のベルはない。オルゴールのSEが流れるなかステージへ流れ込む出演者達。もうここからコンサートは始まっているのだ。席へ着くとホルンの譜面代が2台足りないことに気づく。演奏開始まで残された時間は約2分、あわてて裏に周り譜面代を調達する。ぎりぎりで譜面代が間に合いスタンバイ完了。 じきにBro.TOMさんのナレーションが始まり、ここからはノンストップのステージ構成だ、もう後戻りする時間はない。M屋氏のタクトが振り下ろされた瞬間からあとはもうあっという間に時が進む。途中、師匠の照合を持つ名手・N野氏(Euph)の懺悔ものの飛び出し事件をへて、今ステージのメインである「STAND BY ME」のさびへ突入。心配された歌の部分が近づく。「果たしてみんなはどれだけ乗って歌えるのだろうか」 いざ歌の部分になるとほぼ全員が手拍子をしながらの大合唱。M屋氏は観客席に向かいタクトを振る。4回のリピートで観客もようやくのり、演奏が先へ進められる。「あぁ、これで演奏会を終えることが出来る・・・」 満場の拍手をもらい、アンコール1曲目であるクリスマス曲を演奏。やまない拍手に感謝しながらアンコール2曲目、実は今回の演奏会で演奏者がもっとも苦労したS根氏アレンジの「Happy X'mas」を演奏。ぼろぼろだった1ヶ月前の演奏とは違い、今日の演奏は様になっているではないか。クリスマス1色でアンコールを染め、無事に全ステージを終了した。「みんな、お疲れさま」

*懺悔の時間*

 演奏会が無事終了し、次は夜を徹しての打ち上げだ。出演者はあと片づけを済ませて各自打ち上げ会場である恵比寿駅前の北の庄へ集合して、本日のもう一つのメインイベントである打ち上げが開始された。ここでN野氏の懺悔大会が始まる。STAND BY MEで入る場所を間違え堂々と大音響で1小節分吹いてしまったN野氏。しかられた子供のように長身の背中を丸めているN野氏の、背中が「ごめんなさい」といっている。M屋氏からも「音色は最高だったよ。でも途中で止まってくれて安心した」というコメントにますます恐縮。「何でおまえ達楽器構えないんだよ、どうしてついてこないんだよ−!」と同パートのメンバーに叫ぶが「ついていく訳ないじゃないか!」と一蹴され、とうとう懺悔一気をすることに。「ごめんなさぁい」といいながら飲めないビールを3杯も一気飲みし、N野氏は沈没。「音が大きいのも考え物だ」と初めて自分の音の大きさを悔やむことになったN野氏。いやぁ、実は筆者もソロで入り損ねるという事をやっているが、幸いにもみんなにはバレてはいない(えっ!隣の人間にはバレバレだって?)。有る無いじゃどちらが目立つかって、それはもう本来無い部分に音がある方がダントツで目立つもの。そういえば、Tpの飛び道具S根氏もエルサレム賛歌の最後の決めの部分で思いっきり飛び出しをしていた。うぅ〜ん、毎年見られるこの飛び出し懺悔。きっとエーデルがある限り絶対に無くならない儀式なのだろう。とにかくみんなお疲れさまでした。無事演奏会が終了してよかったね。 この後本番の録音テープとアンケートを肴に宴会は朝まで続いたのであった。

 次は来年7月に開催される20周年記念の定期演奏会。次週の練習からは休む間もなくまた走り出さなくてはいけないメンバー。1998年はエーデルワイスにとってももっとも忙しく、もっとも長い1年になるかもしれない。ハッピーな1年になることを今から祈るばかりである。


リハーサルとコンサートの模様をお伝えする写真は後ほどアップします。お楽しみに。

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